酷暑見舞 風花銀次
夜涼みに出れば川面をわたりくる風なまぐさし うつつの川の
くさい、うるさい、うるさい、くらい新月の夜の電車が家路を急ぐ
繁華街拔けむとするにをとこらが蒸れてこのうへもなく見苦し
エアーコンディショナーあはれビルヂングせなかあはせの路地裏をゆく
熱中症にて地上には出ざるまま死したる油蟬數萬匹
遺棄された危險在來生物が、ほら、わたくしのなかの暗渠に
東京大虐殺あらむ 元號は知らねど庚子文月末とか
庚子葉月立秋の候極熱の酷暑見舞はせ候。御自愛を。
はづかしながら五輪ののちもながらへて黃色いバスで中 心 街へ
ちはやふるかみかぜはそよそよとふくばかり につぽんちんぼつの日も
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