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2018年5月26日土曜日

小説「蝶々雲――かむろ菊乃の廓文章」04 / 風花千里

2018年5月20日日曜日

短歌十五首「すずしろ」/ 風花千里

すずしろ         風花千里

哺乳瓶おもちやにしてゐる子を眺めつつくろぐろと太き眉ひく
祭太鼓に驚いて泣くきみとみいみいぜみがつむぐ輪唱
みづおちに酸ゆきが渦巻きゐたる日は昼月しろきうすものまとふ
亡き母の帯締めてみる夕刊に児童虐待の記事踊る日
生えかけの乳歯一本愛でながらうすき蓮根酢水にさらす
けふの気分はまだらなブルーそれならば夕餉の皿にトマトを少し
おもちや箱に月の光が寄り添ひし日より輪投げの輪が見当たらぬ

2018年5月17日木曜日

詞句窯變 ― trans haiku 010 / 風花銀次譯


Kumo no i ni nenju to mireba usuikana

蜘蛛の囲に念珠と見れば雨水かな

2018年5月12日土曜日

小説「蝶々雲――かむろ菊乃の廓文章」03 / 風花千里

2018年5月6日日曜日

都々逸十首 / 風花銀次

都々逸十首        風花銀次

〽どうせ僕らは帰れやしない夜汽車はに夜の中
〽凛々しい顔ののつぺらぼうに一目惚れしてなぜ悪い
〽能はなくとも爪かくしますあたしや恋する猫娘
〽さいたは菊かふたりの仲か死んだ男が逢ひにくる
〽腹は割いたが介錯まだかはやく頼むと武者の霊
〽地縛霊などさつさとやめて憑いてゆきたいどこまでも
〽風がそよとも吹かない夜の髑髏が耳鳴りに悩む