しばしお待ちを...

2017年11月21日火曜日

小説「五月は薄闇の内に─耕書堂奇談」(3)/ 風花千里

2017年11月15日水曜日

短歌十首「影を踏む」/ 風花銀次

影を踏む        風花銀次

月照れば亡き人の影踏むばかりなる心地する夜ふけなりけり
月の裏側を是非見にきたまへと朋より轉居通知が屆く
機影どかと踏むべくありぬ 向日葵の迷路をたれにも遇はず出でけり
リア充も非リア充も死に絶えて空は澄み鳥の歌はラブラブ
送り火は焚かない どうせ歸らないんだらうし、ずつとゐるんだらうし
紫式部ならざる小紫一枝載せて半月盆の漆黑
ねがはくは十月櫻の花のもと黃昏の國にこそ死なめ

2017年11月11日土曜日

小説「五月は薄闇の内に─耕書堂奇談」(2)/ 風花千里

2017年11月7日火曜日

童話「ヘビのニョロリ」/ 志野 樹

ヘビのニョロリ       志野 樹

 ヘビのニョロリは、なかまのヘビとは少しちがっていました。
 話をするときは、ゆーっくりとしゃべりますし、前にすすむときは、名前のとおり、ニョロリ ニョロリ ニョロニョロ~リと、ゆるやかにうごきます。

 雨上がりのある日、ニョロリは、しめった林の中をさんぽしていました。
 すると、一ぴきのムカデと出くわしました。大きくはありませんが、よく太ったムカデでした。
「わあ、おいしそうだなあ」
 ニョロリは、口をあけて、ムカデを食

2017年11月1日水曜日

小説「五月は薄闇の内に─耕書堂奇談」(1)/ 風花千里


『五月は薄闇の内に――耕書堂奇談』風花千里
《オンデマンド版とKindle版で発売中》

第9回『幽』文学賞長編部門佳作受賞作を改稿。
地本問屋「耕書堂」主人の蔦屋重三郎が見舞われる怪異の謎を戯作者山東京伝が解き明かす、と思いきや……。当サイトで公開済みの第一話「歌麿の肉筆画」、第二話「冩樂の大首絵」のほかに未公開の第三話「銀の魚(うお)」を収録。