身代わり狂騒曲 風花千里
第十一章 果たし合い 一 昨日、春信の家から戻ってきた佐助は、自宅の惨状を見て腰を抜かした。 湯呑み茶碗が砕け、破片が飛び散っていた。窓枠から外れた障子が部屋の真ん中に倒れ、気づかず足を突っ込んでしまったのか、障子紙があちこち破れていた。 茶碗の欠片を拾い集め、障子も窓枠へ嵌め直した。だが、部屋中に散乱した数多の書物は、手をつける気にならなかった。 一時にいろいろな出来事が起こりすぎ、疲労困憊していた。散らかった本で足の踏み場もないとわかると、二階に上がり、そのまま寝てしまった。眠っている間に幾度となく嫌な夢を見た。