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2018年6月27日水曜日

狂歌十首「新作かぶき『HINOMARU』序幕 奉安殿の場」/ 風花銀次

新作かぶき「HINOMARU」
  序幕 奉安殿の場      風花銀次


晝間だがかなかなの聲、下手しもてより男らがばらばらと登場あらはる
やや遠く切れ切れに玉音放送、日の本の暗挑だんまり
國民服の男其の一「日ッ本をたい崩しに致し候」
唄。〽千代に八千代になどと、契情けいせいの誠のはうがまことらしうて……
蟬の聲、鳴物みて三人の國民服ひとしく思ひ入れ
「翼贊の歌詠まざるは幸運に過ぎぬ」如何にもと宜しくこなし

2018年6月23日土曜日

小説「蝶々雲――かむろ菊乃の廓文章」06 / 風花千里

2018年6月16日土曜日

短歌五首「半分、赤い」/ 風花銀次

半分、赤い        風花銀次

いはずもがなけふもたれかの忌日にて半分赤い墓域ありけり
茶房太白地階の奧で差し向かふ可塑的プラスチックな女友達
鞭ふるふときにもつとも美しき騎手が大映しのテレヴィジョン
實は曾我五郞ならねど助六といへるとと屋の閉店セール
みだりがはしくも付箋のあまたなる記紀 亡き父の書架にまします

2018年6月9日土曜日

小説「蝶々雲――かむろ菊乃の廓文章」05 / 風花千里