2018年1月31日水曜日
2018年1月27日土曜日
2018年1月21日日曜日
小説「五月は薄闇の内に─耕書堂奇談」(6)/ 風花千里
五月は薄闇の内に─耕書堂奇談 風花千里
第二話 冩樂の大首絵(後) 十九 でっ、どっ、でっ、どっ、と不貞腐れたような不規則な足音が階上から下りてきた。 ほどなく開け放した襖の先に、一九が立った。小遣い稼ぎの仕事に精魂を傾けていたからか、目が血走り、着物もあちこち着崩れている。 「突っ立ってねえで、入れよ」 京伝が値踏みをするような目をして一九を呼び入れた。 一九は少しだけ躊躇するような表情を浮かべたが、すぐにいつもの飄々としたとぼけ顔に戻り、京伝と蔦重の間へ来た。おどけた動作で、どかっと胡座を掻く。
2018年1月17日水曜日
短歌十首「花妖」/ 風花銀次
花妖 風花銀次 渴愛てふほどにあらねど西のかたに太白あふぐ身のふるへかな 花はまだ見ぬ夜のはての梅が枝に架かれる星を憂ふものかは 梅が香のなか步みきてたそがれにたたずむ汝 を花妖と思ふ しろたへの梅あざらけき夕べはもいづこも汝 の氣配に滿ちて 鶯のなみだ涸れはつかぎろひの春も夕べと言ひしひとはや ぬばたまのほどきし髮に夕東風を螺鈿のごとくちりばめてゐた 朧夜の寢物語に言ふらくはハートの女王の出自來歷
2018年1月11日木曜日
小説「五月は薄闇の内に─耕書堂奇談」(5)/ 風花千里
五月は薄闇の内に─耕書堂奇談 風花千里
第二話 冩樂の大首絵(中) 九 「あら、京伝さん。どうしたのさ、こんな時分に」 女房のお芳が小娘のような甘ったるい嬌声を上げた。 珍しく家族揃っての夕餉のさなか、洒落た絽の単を着こなした京伝が耕書堂の母屋の台所へ顔を出した。 改革のお触れで、庶民は木綿の着物しか認められなくなったが、京伝は夜になると、こっそり絹や絽の着物を身にまとい、外へ出る。 「どうしたって、お宅の主人が俺の家へ使いを寄越したんだよ」
2018年1月2日火曜日
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