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一文字小説 其ノ六 風花銀次 |
【解説】 さる年の霜月廿二日、浅草の今戸神社を詣でし折り、或人より「家内安全〳〵」に付句せよと請はれければ「はまぐりにたつ心こそめでたけれ」と書いつけて遣はしぬ、なんてでっちあげを申し述べます。はい、穴冠に嫁で「はまぐり」てのは、前回お目にかけた「しじみ」と好一対でございますが、さりとて同様に「はまぐりにしたごころ」とやらかしちまうと、うーん、そんな夫婦関係てものは、なんだか殺伐としてないかしら、と思ったので「立つ心」とした次第でして、ナニはともあれ心が大事ってことです。立てる「心」は篆書体でなくたってかまやあしません。ところで「嫁の下に穴」だと「ぐりはま」になるんでしょうね。だって「月夜に釜を抜く」てな訓ずほぐれつは、文字通り穿ち過ぎでしょうから。
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