まがたま 風花千里
春は花摘み、秋は茸 狩り みどりこ太れば、珠をも太る 紅いべべ着て、ねんねしな ねんねんねんころり ねんねんねんころり眉 根 村の子守唄 **** 「おはよう」 鈴が井戸端で顔を洗っていると、背後から肩を叩かれた。 声のした方へ水にまみれた顔を振り向ける。 「なんだ、お縫か。おはよう」 胡瓜を入れた籠を背 負 って立っていたのは、幼馴染の縫だった。すでに畑に行って、ひと仕事をしてきたらしい。 「今日はあんたの祝言だっぺ? おめっとう、これであんたも、大人の仲間入りだわ」
2017年4月21日金曜日
2017年4月16日日曜日
連作短歌三十首「お月さま、おねがひ」/ 風花銀次
お月さま、おねがひ 風花銀次 滿員の電車にまんまるいお月さまが窓から乘り込んできた ☆……‥‥・・ ・ ・ ・・‥‥……☆ 「ドレッドヘアの彗星が大接近!」と見出しが躍るけふの夕刊 星形のにんじん溶けてしまふまで煮こんだシチューふたつください 火星からやつてきたんだ。ほんたうさ、蝙蝠をひとつがひつれてね 今は日雇ひ勞働だけどトラックに木星を積んだことだつてある 土星の環なら見たことがある、遺失物センターでね まあまあだつた
2017年4月15日土曜日
短歌七首「星状果実」/ 風花千里
星状果実 風花千里 神貶むるにあらねどあらまほしルーズな髪をさらに靡かせ 眠り足らざる目にくるふのはきしみゆく軌条はたまたブランチ・デュボア暁 。愛をうべなふ褪紅 の唇からはただ風のみぞたつ 一〇〇%純粋な愛などなかりしも齧りあふなら星状果実 地球儀が自転せし夜 抱き合つてf のかたちに凭れてしまふ 干し草の匂ひの夕べ街にふと片頬で笑 む少年ひとり スペイドの若衆 をまさに副官 に手 戯 せむとや生まれ来しかな
2017年4月2日日曜日
短歌十首「野を征かば」/ 風花銀次
野を征かば 風花銀次 うはの空にわれの愛語を聞き流しふいに鳥めく年上のひと 身をえうなきものにおもひつ 相照らす肝膽にほのくらき一隅 千早振る神去月はたそがれの國に咲くてふ櫻見にゆく 野を征かば立ち枯れの向日葵群れて南 へ驅け出ださむばかり 鈴蘭臺驛發君影團地行バス停のかはたれ 見覺ゆ 夫婦相和し革命歌連彈のそののちのゆくへが杳として知れぬ小葉立浪草 の波濤にさらはるるほどな小さきひとに生まれき
2017年4月1日土曜日
短歌五首「たまゆら」/ 風花千里
たまゆら 風花千里 輪転の光のかけら宿したるほたるぶくろの底のたまゆら ゆらゆらと揺らめいてをり沈む陽がうつろな海の支点となるべく 使者として光を纏ひ舞ひ降りぬ» PDFで読む黙 してふかき闇の鷺草 うつくしく翔 たしめたまへ真夜中の千羽のなかの黒き折鶴 錆びついた鉄条網を抜けてゆく風をとどめてあるフェルマータ
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