散り過ぎゆかば 風花銀次 悄然と» PDFで読む頭 を垂れて向日葵が竝びいづこへか續く國道 刎頚の朋のくび刎ねそこなつてその日から口を利いてくれぬ 菊に葉蜱 たかりあるいは我が死後にまた新たなる敗戰記念日 「十八面骰子 一個」と遺產目錄の末尾の秋の夕暮れ わびなきの亡き人よりの觀月の誘ひの書狀ののの字愛 しきやし
2017年8月26日土曜日
短歌五首「散り過ぎゆかば」/ 風花銀次
2017年8月21日月曜日
小説「紅に狂う」/ 風花千里
紅に狂う 風花千里
紅い色を見る。 すると千鳥のからだの芯は舐め上げられたみたいに、きゅ、と締まります。 きゅう、と縮こまる時は、決まって月の障りが訪れます。初潮 の時も綺麗な紅 に目を奪われました。 柳の若芽を揺らす風が妙になまめかしい夜。 千鳥は襖を細めに開けて、こっそり姉様 の床入りを覗いていました。 その日に限って覗き見をする気になったのは、姉様がまるで世を呪っているかのようにふてくされていたからでした。 客は本卦還りも近い商家の主人。鯰のようにぬめぬめした肌が気色の悪い男です。 姉様は四菱模様の長襦袢に縮緬の湯文字という姿で、懐紙を唇に挟んで床に滑り込みました。
2017年8月7日月曜日
童話「トンキーとピョンシー」/ 志野 樹
トンキーとピョンシー 志野 樹 トンキーは、ブタの男の子です。 大きなことにかけては、村いちばんのブタ、トントンさんのむすこで、すみれ小学校にかよっていました。 ピョンシーは、ウサギの女の子です。いろの白さでは、村いちばんのウサギ、ピョンタさんのむすめで、やっぱりすみれ小学校にかよっていました。 トンキーとピョンシーは、とてもなかよしです。 学校に行くときは、ピョンシーがトンキーのいえにむかえにいきます。 トンキーは、朝ねぼうなので、いつまでもベッドでぐずぐずしているのです。
2017年8月1日火曜日
短歌五首「瓊音」/ 風花銀次
瓊音 風花銀次 玉子すなはち玉體となるさだめの子などといひけり籠に盛りつつ 咲かぬ櫻をゆすりつつふと氣に入らぬもののひとつに無賴派の「派」 夏も近づく八十八夜を百夜過ぎすぐにかつての敗戰記念日 むらぎもの心を洗へ しかるべくやさしきゲリラ豪雨待たるる でも玉がふれあふやうなきよらかな音なんてしなかつたよ、ママン» PDFで読む
登録:
投稿 (Atom)