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2012年12月18日火曜日

緑月亭&齋藤幹夫「二律背反」


二律背反        俳句◎緑月亭            短歌◎齋藤幹夫 棘が葉に摘むもをかしきべにの花 言の葉をやいばに變へて一身に返り血浴びむ覺悟はありや 死してまでなに抱へ込みたりや蝉 死してしかばね拾ふ者ゐて油蝉なほも虚空に獅噛みつきたる 瓜つるりとして憎たらし戀 敵こひがたき 八百八の瓜賣るあにいれての祭と後の情事と 鼻緖紅きおぼえばかりの盂蘭盆會 初花のこぼれたれやも迎え火に紅き鼻緖の處女をとめ 八朔やてうに叩き起こされて 男所帶つひに途絶えて裏庭に紅八朔のまだ靑からむ 扇置く疊さざなみたちにけり さざなみの死が近づきぬ火のなかゆ捨てゐし扇ひらきてあはれ 卵塔場おどろおどろし野分かな 孟秋の候 天空に北を差したるふう御陽ヴァ|の羽擊き 十六夜や生きてなんぼと僧の言ふ 十六夜の愚圖愚圖として淺草寺裏の安達ヶ原に流連ゐつづけ 曼珠沙華血みどろ虚空搔き毟り 傾城屋けいせいやあとかたもなしかたすみに幽靈花の咲き殘りたる 體こそ正直にして鵙落し 愛しうと戀しうほどの差はあるも盲調子に鳴く囮鵙 稚兒の手に蟷螂のをすのたれ死に 据膳食ひつぱぐれて恥のうは塗りの蟷螂のをす生きながらへり 痔拗らせぬかるみ歩むはせをの忌 加濕器突如唸りだしたる時雨忌の夜の異常乾燥注意報 金色こんじきの土左衞門めく柚子浮かぶ 庭の花壇に湯上りの柚子棄つ いまや九相圖膿爛相の頃 をのむふところ晒し煤拂 きり一丁舟より降ろし錆聲に「今日が納めの金毘羅さんよ」 寢正月鶴龜算も忘れにき 龜眠り鶴ちゐしを正月も早早に大寒波襲來
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