一文字小説 其ノ八 風花銀次 |
【解説】 漢名で「毛蛤」という結構なお名前の貝があります。和名は猿頬貝で、藻貝や弥勒貝などと地方名も多く、広く親しまれており、赤貝の近縁種。あたしが子供の時分は潮干狩りでよく採れ、母が佃煮や炊き込みご飯にしてくれました。赤貝と同様血液にヘモグロビンを含み剥き身にしちゃえば見た目に区別はつかず、缶詰などでは「赤貝実は猿頬貝」と歌舞伎狂言の役名 のようになることも。とはいえ島根の中海や宍道湖あたりでは地方名が赤貝だったりするので嘘ともいえずでややこしい。そこで妙案、赤貝よか小ぶりな猿頬貝の別名なら「毛蜆」とかよくね?と提案しつつ、一文字で「毛が薄い」なんて悪く洒落た次第です。はい。 宍道湖のみちひきは真実かなし しゞみごときが汐をふきけり
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