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2018年6月27日水曜日

狂歌十首「新作かぶき『HINOMARU』序幕 奉安殿の場」/ 風花銀次

新作かぶき「HINOMARU」
  序幕 奉安殿の場      風花銀次


晝間だがかなかなの聲、下手しもてより男らがばらばらと登場あらはる
やや遠く切れ切れに玉音放送、日の本の暗挑だんまり
國民服の男其の一「日ッ本をたい崩しに致し候」
唄。〽千代に八千代になどと、契情けいせいの誠のはうがまことらしうて……
蟬の聲、鳴物みて三人の國民服ひとしく思ひ入れ
「翼贊の歌詠まざるは幸運に過ぎぬ」如何にもと宜しくこなし
「靈に貴賤はありやあしねえ、英靈と云ふがごときは樗蒲一ちよぼいちだらう」
「ぼくけに御靈ごりやうめえを取つ替へた二つ名のあるたまだなア」
ト、思ひ入れあつて氣を變へ振り仰ぎ「空に吸はれし銃後の心」
意味もなくはためく旗を無言にて皆皆見やりつつかしら
               (未完)

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