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2018年4月8日日曜日

独吟半歌仙「蝶々雲の巻」/ 風花千里


独吟半歌仙「蝶々雲の巻」
            風花千里

 
時代小説の中で使う予定で作った架空の半歌仙ですが、結局使用しませんでした。でも、その小説の予告っぽい感じにはなってるかも……。
 
 
ハレの日に入り乱るるや蝶々雲

 書物問屋が虎落笛聞く

寄り添ひて童べのかく軽いびき

 菓子箱の蓋開きっぱなし

早春の洲崎の砂を照らす月

 いと掌に温しお江戸の水は
拗くれし意休の面へ二日灸

 草刈籠へ文を投げこむ

戯れ女が黄楊のを枕濡らしゐて

 都のひとを忘れめさるな

赤々と山酔ひ痴れる大文字

 新走りには口も滑りぬ

うすら寒策士の策に魂消たり

 雪を消したは月読らしき

物干しに母の匂ひを嗅ぎ分けて

 さて正体はしらんめえ

散る花はいつの世にてもいぢらしく

 仔猫が証すまことのまこと

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