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2017年12月21日木曜日

短歌十首「風を結んで」/ 風花千里

風を結んで        風花千里

眠りが人を透いてゆくころ冷やされし醗酵乳が分離はじめぬ
反りかへりあゆむ妊婦の脊椎の***にしばし木枯し憩ふ
父といふ危きものよ つやめきし卵黄に血のまじりてゐたる
児が握る磁石に砂鉄群がりて 精子銀行の精子のゆくへ
午後五時の公園 母の帰り待つ少女のつゆけき睫毛が深し
残飯に群がりつつく鳩たちの羽に夕陽がゆるびつつある
朝光を吸つてふくらむ主のなき金魚鉢なり 未来を映す
金魚鉢が夕陽を吸ってふくらみぬ 〈テーラー風花〉閉店時間
天気予報専門チヤンネルつけしまま風を結んでなすこともなし
街なかを抜けきし風と子の皮膚がかさかさと音たてて冬立つ

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