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2017年11月15日水曜日

短歌十首「影を踏む」/ 風花銀次

影を踏む        風花銀次

月照れば亡き人の影踏むばかりなる心地する夜ふけなりけり
月の裏側を是非見にきたまへと朋より轉居通知が屆く
機影どかと踏むべくありぬ 向日葵の迷路をたれにも遇はず出でけり
リア充も非リア充も死に絶えて空は澄み鳥の歌はラブラブ
送り火は焚かない どうせ歸らないんだらうし、ずつとゐるんだらうし
紫式部ならざる小紫一枝載せて半月盆の漆黑
ねがはくは十月櫻の花のもと黃昏の國にこそ死なめ
かつてかく灼かれたる子らあり 梶 ベビ|ハンズ もみづる庭の片隅
男瀧より女瀧うるはし月いでて紅葉の影を踏む人もなし
亡き人とする影踏みの鬼に解かれざるまま我のみが老ゆ

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