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2012年8月29日水曜日

短歌十首「秘扇帖」/ 風花銀次

秘扇帖            風花銀次

心弱くなりゆく夕べいん結ばむとして指がひきつる
五欲、そのひとつを缺きし少年とすれちがふ花の奧の奧
愛想盡かしの水無月 われが拒みたるかいなかなしき曲線カ―ヴをゑがき
靈肉をたやすくわかち論ふたかが書齋の山羊が、莫迦め
鬼子母寺に石榴一顆み割れてうちつけに性力崇拜シャクティズムむずむず
ひねもす呑んだくれてゐにけりしらつゆの奧義オカルトへはなほ至りがたしも
修羅扇裂いたる指ににじむ血を吸ひつつ淚ぐまし姉上
詞藻枯渴前夜 はたして「ぬばたまの苦勞知らず」のあとが續かぬ
亡びつつありてながらひ餓鬼めらがさへづる 〽金  剛  輪  際エンド・オブ・ザ・ワ―ルド……
朝戸出に鬱勃としてわれつひにパールヴァティーに巡り會はざらむ
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