秋霧の 風花銀次 星は» PDFで読む熟 れつつありきくちびるかさねあふ二人にかかはりはあらねど 照る月の赤狩り 二十一世紀初頭電腦空間にて いつからかファインダーの中に棲みついた女が顏を見せてくれない 夢は枯野で迷子になつた ブルーズに取り憑かれつちまつたんだッてよ 步み寄る鶴に多生の緣を說き來し方に惛惛と雪降る 玉ニ瑕アリテ其處ヨリ碎ケ散ル故ニ玉碎ト謂フナリ(嘘) 第四の軍に突擊するごとくさかのぼる花筏ありけり 鞦韆に搖られてあればうちつけに第七の軍の進軍喇叭 躑躅これでもかとばかり それよりもおまへの甘い汁を吸ひたい 娼館のごとく源氏名竝べ立て花賣る店の裏の圃場 麥藁帽子のつばのみふるるほどの距離たもち少女は少女と步く 見ててごらん、こんな夜には裏庭の接 骨 木 がとことこ步き出す もの食へばものを食ふ音のみひびきかなし 木の下闇の暗がり斑猫 いづこへか失せ黃泉比良坂で滑つて轉んぢやつた 妻よ、もういちど駈け落ちせう 遠き野を駈け拔けてゆく驟雨
2017年7月5日水曜日
短歌十五首「秋霧の」/ 風花銀次
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