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2017年7月5日水曜日

短歌十五首「秋霧の」/ 風花銀次

秋霧の           風花銀次

星はれつつありきくちびるかさねあふ二人にかかはりはあらねど
照る月の赤狩り 二十一世紀初頭電腦空間にて
いつからかファインダーの中に棲みついた女が顏を見せてくれない
夢は枯野で迷子になつた ブルーズに取り憑かれつちまつたんだッてよ
步み寄る鶴に多生の緣を說き來し方に惛惛と雪降る
玉ニ瑕アリテ其處ヨリ碎ケ散ル故ニ玉碎ト謂フナリ(嘘)
第四の軍に突擊するごとくさかのぼる花筏ありけり
鞦韆に搖られてあればうちつけに第七の軍の進軍喇叭
躑躅これでもかとばかり それよりもおまへの甘い汁を吸ひたい
娼館のごとく源氏名竝べ立て花賣る店の裏の圃場
麥藁帽子のつばのみふるるほどの距離たもち少女は少女と步く
見ててごらん、こんな夜には裏庭のとこがとことこ步き出す
もの食へばものを食ふ音のみひびきかなし 木の下闇の暗がり
斑猫みちおしへいづこへか失せ黃泉比良坂で滑つて轉んぢやつた
妻よ、もういちど駈け落ちせう 遠き野を駈け拔けてゆく驟雨はしりあめ
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