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2018年3月23日金曜日

俳句三十句「夢見具佐」/ 風花銀次

夢見具佐          風花銀次

きのふにも似ぬ戀びとや初櫻
二日三日そらをつかひて初櫻
はらみ句の遣ひどころや初櫻
初櫻きのふとけふのあり渡り
寢て起きてべた一面の櫻かな
八分咲おいちよよりかぶよりぶたの櫻哉
さくらさくらさくらひらかなのうれしさ
世の中は屁のつつぱりのさくら哉
世の中を屋臺崩しにさくら哉
いなせなる名なしをとこや伊勢櫻
斷倫や下戸まざりゐる花の下
よんどころなくて花みる理屈かな
孤閨をかこつごときもありぬ姥櫻
朝櫻咳いては韻を踏み損ね

花に酒へたな發句をうるさがり
待ちかねの戀もでゝくる花の下
花は花もとめ過たるものがたり
花の陰にんげんに人間の貌
おしかくす伊達が見えけり花衣
花の下なにやら尻がむずがゆい
根の國があるはあたりき花の下
亡きひとが來て説く花の輕みかな
虛をついてはゞかりながら花の奥
みしかさのきはみをいはゝゆふさくら
ぞつとする觀念臭や花の下
四光五光はすぎたる詠め花に月
後朝や花に見惚れる面の皮
花の色はうつり煮きらぬ燗どころ
櫻散るちりては酒のあたらしみ
逆夢のなかにても散る櫻かな

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