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2018年3月8日木曜日

短歌十首「銀の朝」/ 風花千里

銀の朝         風花千里

へその緒につながれしままの子を胸にりんごジュースで空腹満たす
産み終へてまどろむ中にさびいろの三葉虫と顔合はせけり
産着よりのぞく手足に触れしとき信じられたよ明日があること
春の足音察したきみが一心に吸ふおつぱいに紅梅ひらく
騒音と鴉の声で目覚めたるきみにもしばし銀の朝来る
息はづむ宅配便の兄さんに玄関先が微熱を醸す
過去の恋おもひて乳を含ませるまひるま蜂の羽音がゆらぐ
添ひ寝する父と子同じ眉をして時の流れに絆をしるす
光化学スモッグ警報発せられ重き頭蓋の地球がまはる
わがひざでねむりくゆらせているきみ アンモナイトになつてしまふよ

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